WordPress 6.8で気になる新機能・ブロックエディター周りのアレコレ


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2025年4月16日にリリース予定 WordPress 6.8の一部をご紹介

たくさんある新機能の追加、強化、修正などの中から気になる変更点や機能をピックアップしてご紹介します。また、この記事を読むことで、WordPress のリリースに関する基本的なことや、最近のテーマに関する情報も知ることができます。

※この記事は、WordPress 6.8リリース候補版3(RC3) を元に書いています。

WordPress のリリースについて

最初に、WordPress のリリースについて基本的なことをまとめてみました。すでに知っている方は読み飛ばしてください。

メジャーリリースとマイナーリリース

WordPress には、メジャーリリースとマイナーリリースの2つあります。バージョン番号で区別できます。

  • メジャーリリース:6.0、5.9、5.8のように小数点がひとつ。新機能の追加や変更を含む大きなリリース。
  • マイナーリリース:6.0.3、6.0.2、6.0.1のように小数点が2つ。バグやセキュリティを修正するためのリリース。

なお、1つ目の数字に特に重みはなく、5.9 から6.0 のように5から6に上がっても、特別に大きいアップデートが行われるわけではありません。

執筆時点では以下がそれぞれの最新です。

  • メジャーリリース:WordPress 6.7(2024年11月12日)
  • マイナーリリース:WordPress 6.7.2(2025年2月11日)

次に予定されているメジャーリリースが、WordPress 6.8 です。2025年4月15日(日本だと4月16日)にリリース予定となっています。

これまでのリリース一覧は、WordPress.org の日本語による公式ローカルサイトで確認できます。

なお、メジャーリリースには、ジャズミュージシャンの名前がつけられています。

WordPress のリリース情報

WordPress のリリース情報は、日本語ローカルサイトの「ニュース」で入手できます。

https://ja.wordpress.org/news/

記事のカテゴリー「Releases」を参考にするとよいでしょう。

https://ja.wordpress.org/category/releases/

リリースサイクル

正式版リリースまでは、以下の流れで行われているようです。

  • フェーズ1: 計画とチームのリード役の確保
  • フェーズ2: 開発作業開始
  • フェーズ3: ベータ版公開
  • フェーズ4: リリース候補版公開
  • フェーズ5: 正式版リリース

現在、WordPress 6.8 リリース候補版3が公開されています。

ベータ版やリリース候補版を試す方法

いくつか方法がありますが、プラグイン WordPress Beta Tester を利用するのが簡単です。WordPressの管理画面から検索してインストールできます。

本番環境ではなく、必ずテスト環境でお試しください。テスト環境の構築には「Local」が使いやすくてオススメです。

最近のテーマに関する予備知識

次に、最近のテーマに関する予備知識を簡単にまとめました。こちらもすでに知っている方は読み飛ばしてください。

フルサイト編集(サイトエディター)

Full Site Editing、略すとFSE。WordPress 5.9から実装された機能です。フルサイト編集に対応したテーマであれば、外観 > エディターから編集できます。ヘッダーやフッターなど今までカスタマイズが難しかったエリアも、ブロックで簡単・柔軟に構築できます。

サイトエディター
ヘッダーの編集

補足

WordPress 6.8 へアップデートしても、ベクトル製テーマ「Lightning」や「Katawara」 では、フルサイト編集に関連する機能は有効化されないようになっています。

ブロックテーマ

フルサイト編集に対応したテーマのことをブロックテーマと呼びます。WordPress 6.4で導入されたデフォルトテーマ「Twenty Twenty-Four」や、ベクトル製であれば「X-T9」がブロックテーマです。

クラシックテーマ

従来からあるテーマのことをクラシックテーマと呼びます。ベクトル製テーマ「Lightning」や「Katawara」 はクラシックテーマとなります。

theme.json

ファイル名「theme.json」。テーマフォルダ直下にあり、テーマを構成するファイルのひとつです。theme.json はブロックテーマで使われています。テーマで使用する主にブロックエディターの設定やスタイルなどを JSON形式で記述したものです。クラシックテーマでも、WordPress 5.8以降で theme.json に対応していれば、機能を利用できます。

WordPress 公式ハンドブック:グローバル設定とスタイル (theme.json)

Lightning はバージョン15.0.0より theme.json に対応しています。

WordPress 6.8 の気になる変更や新機能

管理画面

「新規投稿を追加」のラベルが「投稿を追加」に

https://core.trac.wordpress.org/ticket/61219

投稿や固定ページなどにある「新規投稿(固定ページ)を追加」のラベルが冗長に感じられるということで、「投稿(固定ページ)を追加」になります。ほか、メディア、ユーザー、テーマ、プラグインなどすべて「新規」や「新しい」が省かれて統一されるようです。

ラベルの変更は WordPress 6.4のときにもありました。今回の変更も、手順の作成や説明する時にちょっと気にしておくとよさそうです。

WordPress 6.7.2
WordPress 6.8 RC3

外観の「パターン」が「デザイン」の中に移動(クラシックテーマ)

「Lightning」などのクラシックテーマ向けの内容です

クラシックテーマで、「外観」に新しく「デザイン」が追加され、その中に「パターン」が移動されてます。Lightning で確認してみました。

  • WordPress 6.7.2:外観 > パターン
  • WordPress 6.8 RC3:外観 > デザイン に変更。その中に「パターン」と「スタイル」が表示
WordPress 6.7.2
WordPress 6.8 RC3
WordPress 6.8 RC3

「スタイル」では、ブロックテーマのようにスタイルブックが表示されます。色やタイポグラフィ、ブロックがどういう風に表示されるのかを確認できます。

スタイル

パスワードのセキュリティが強化される

パスワードのハッシュ化に用いるアルゴリズムが MD5 から bcrypt に変更されて、パスワードのセキュリティが強化されるようです。

ハッシュ化とは、ハッシュ関数によってデータを不規則に見える文字列に変換すること。WordPress では、ログイン画面で入力したパスワードをハッシュ化し、その値とデータベースに保存してあるパスワードのハッシュ値が一致すると認証する仕組みになっています。

データベースを見ると、ユーザーのパスワードは実際の文字列とは異なるのが確認できます。WordPress 6.7.2では MD5 のハッシュ値でテーブルに保存されています。

ユーザーのパスワード(WordPress 6.7.2の時)

このまま WordPress 6.8にアップデートしても、パスワードの変更やリセットの必要はなく、ログイン済みのユーザーは、アップデート後もログイン状態が維持されるようです。
bcrypt でハッシュされるのは、WordPress 6.8にアップデート後の再ログイン時またはパスワードを変更する時です。自動的に bcrypt で再ハッシュされ、データベースに再保存されるとのこと。

実際に試してみたところ、異なる文字列でより長い値に変わって再ハッシュされているようです。

ユーザーのパスワード(WordPress 6.8 RC3にアップデートして再ログイン後)

注意が必要なのは、bcrypt で再ハッシュされた後で WordPress 6.7.2などにダウングレードした場合です。パスワードを正しく入力してもログインできなくなってしまいます。ログイン時に入力したパスワードのハッシュ値(MD5で生成)とデータベースに保存してあるハッシュ値(bcryptで生成)が一致しないためです。

「WordPress 6.8にアップデートしたらプラグインが動作しなくなった😱一旦6.7.2に戻そう」というケースでログインできなくなったときは、慌てず「パスワードをお忘れですか ?」のリンクからパスワードをリセットしましょう。

エディター関連

「表示」に「テンプレートを表示」が追加

「X-T9」などのブロックテーマ向けの内容です

WordPress 6.7.2では、サイトエディターで固定ページの「テンプレート」から「テンプレートを表示」をクリックすると、テンプレート表示モードになります。適用されているテンプレートを編集画面に表示させることができます。

WordPress 6.7.2

WordPress 6.8では、トップメニューの「表示」にも「テンプレートを表示」が追加されるようです。どちらからでもテンプレート表示モードにできるということですね。

WordPress 6.8 RC3

「サイトを編集」をクリックするとサイトエディターのトップレベルが表示する

「X-T9」などのブロックテーマ向けの内容です

https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/63785

ページを表示している状態で画面上部にある「サイトを編集」をクリックすると、WordPress 6.7.2ではそのページに適用しているテンプレートの編集画面が開いていたのですが、WordPress 6.8ではサイトエディターのトップレベルに移動するようです。

これまで「サイトを編集」からテンプレートの編集をしていた方はアレ?ってなるかもしれませんね…

サイトを編集
WordPress 6.7.2
WordPress 6.8 RC3

ズームアウトのトグルが表示されない?

「X-T9」「Lightning 」にも関係ある内容です

WordPress 6.7で追加された「ズームアウト」のトグルは、現時点ではトップメニューに常に表示されない?ようです。ブロックインサーターからパターンタブをクリックしても、トグルが表示されません。

WordPress 6.7.2

X-T9 などのブロックテーマでは、「テンプレートを表示」を有効にするとトグルが出てきました。現時点では「テンプレートを表示」が無効だと、ズームアウトも無効になってしまうようです。

https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/69777

Lightning などのクラシックテーマでは、ズームアウトのトグルを表示させる方法がないのか、見つけられませんでした。

ズームアウトは新しい機能なので、まだまだ今後どうなっていくのか、気になるところです。

ズームアウトとは

ONにするとズームアウトされてページの内容を広範囲に表示できるため、パターンの追加、シャッフル、移動、削除などがしやすくなります。トグルをクリックしてON/OFFを切り替えられられます。パターンを構成する各ブロックを編集する際は、ズームアウトをOFFにして作業します。

「選択したブロックを削除する」キーボードショートカットが変更に

https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/69074

WordPress 6.7.2(Mac)
WordPress 6.8 RC3(Mac)
  • Windows:control+Alt+ZからShift+Ctrl+Backspace に変更
  • Mac:control+option+ZからShift+command+Backspace に変更

たとえば、画像だとDelete キーまたは Backspace キーで削除できますが、段落だとこれらのキーでは文字が削除されるため、段落全体を削除したいときにこのキーボードショートカットは便利だと思います。より分かりやすいキーの組み合わせになったことで、使いやすくなりそうです。

WordPress 6.8 RC3(Mac)

トップメニューにあった「ツール」がなくなる?

https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/65736

「ツール」をクリックすると、ブロックの「編集」と「選択」を切り替えられましたが、これが表示されなくなっています。わたしは今まで「選択」にして使うことがなかったので気になりませんが、アレ?と思う人がいるかもしれないですね。

ブロック

画像ブロックに「アイキャッチ画像として設定」が追加

オプションから簡単にアイキャッチ画像として設定できるようになります。これは便利ですね。

WordPress 6.8 RC3

「クエリー総数」ブロックが追加

「クエリー総数」ブロックが新しく追加されています。クエリーループ内に挿入するとその総数を表示してくれます。

ブログやお知らせなど記事の件数を表示できるので、便利ですね。

以上、一部ですが、気になった変更点や機能をピックアップしてご紹介しました!

参考資料

この記事を書いた人

ササキ カオリ
ササキ カオリ
株式会社ベクトルでリモートワークしながら某レンタルサーバー会社にも時々勤務しているパラレルワーカーです。WordCamp Osaka 2019登壇しました。フジロックが好き。
フルサイト編集に対応したブロックテーマ X-T9

フルサイト編集対応ブロックテーマ

WordPress テーマ X-T9 は、WordPress 5.9 から実装されたフルサイト編集機能に対応した「ブロックテーマ」と呼ばれる新しい形式のテーマです。
ヘッダーやフッターなど、今までのテーマではカスタマイズが難しかったエリアもノーコードで簡単・柔軟にカスタマイズする事ができます。

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VK AB Testing は、ABテストを実施するための WordPress 用プラグインです。ブロックエディターでテストパターンを自由に作成でき、ランダム表示とクリック計測が可能です。Webサイトや広告などの施策の改善にぜひご活用ください。

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このデモサイトは Vektor,Inc. のテーマとプラグインで構築されています。ご購入や詳細情報は下記のリンクもご参考ください。

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