
- 1. WordPress のリリースについて
- 1.1. メジャーリリースとマイナーリリース
- 1.2. WordPress のリリース情報
- 1.3. リリースサイクル
- 1.4. ベータ版やリリース候補版を試す方法
- 2. 最近のテーマに関する予備知識
- 2.1. フルサイト編集(サイトエディター)
- 2.2. ブロックテーマ
- 2.3. クラシックテーマ
- 2.4. theme.json
- 3. WordPress 6.8 の気になる変更や新機能
- 3.1. 管理画面
- 3.1.1. 「新規投稿を追加」のラベルが「投稿を追加」に
- 3.1.2. 外観の「パターン」が「デザイン」の中に移動(クラシックテーマ)
- 3.1.3. パスワードのセキュリティが強化される
- 3.2. エディター関連
- 3.2.1. 「表示」に「テンプレートを表示」が追加
- 3.2.2. 「サイトを編集」をクリックするとサイトエディターのトップレベルが表示する
- 3.2.3. ズームアウトのトグルが表示されない?
- 3.2.4. 「選択したブロックを削除する」キーボードショートカットが変更に
- 3.2.5. トップメニューにあった「ツール」がなくなる?
- 3.3. ブロック
- 3.3.1. 画像ブロックに「アイキャッチ画像として設定」が追加
- 3.3.2. 「クエリー総数」ブロックが追加
WordPress のリリースについて
最初に、WordPress のリリースについて基本的なことをまとめてみました。すでに知っている方は読み飛ばしてください。
メジャーリリースとマイナーリリース
WordPress には、メジャーリリースとマイナーリリースの2つあります。バージョン番号で区別できます。
- メジャーリリース:6.0、5.9、5.8のように小数点がひとつ。新機能の追加や変更を含む大きなリリース。
- マイナーリリース:6.0.3、6.0.2、6.0.1のように小数点が2つ。バグやセキュリティを修正するためのリリース。
なお、1つ目の数字に特に重みはなく、5.9 から6.0 のように5から6に上がっても、特別に大きいアップデートが行われるわけではありません。
執筆時点では以下がそれぞれの最新です。
- メジャーリリース:WordPress 6.7(2024年11月12日)
- マイナーリリース:WordPress 6.7.2(2025年2月11日)
次に予定されているメジャーリリースが、WordPress 6.8 です。2025年4月15日(日本だと4月16日)にリリース予定となっています。
これまでのリリース一覧は、WordPress.org の日本語による公式ローカルサイトで確認できます。
なお、メジャーリリースには、ジャズミュージシャンの名前がつけられています。
WordPress のリリース情報
WordPress のリリース情報は、日本語ローカルサイトの「ニュース」で入手できます。
https://ja.wordpress.org/news/
記事のカテゴリー「Releases」を参考にするとよいでしょう。
https://ja.wordpress.org/category/releases/
リリースサイクル
正式版リリースまでは、以下の流れで行われているようです。
- フェーズ1: 計画とチームのリード役の確保
- フェーズ2: 開発作業開始
- フェーズ3: ベータ版公開
- フェーズ4: リリース候補版公開
- フェーズ5: 正式版リリース
現在、WordPress 6.8 リリース候補版3が公開されています。
ベータ版やリリース候補版を試す方法
いくつか方法がありますが、プラグイン WordPress Beta Tester を利用するのが簡単です。WordPressの管理画面から検索してインストールできます。
本番環境ではなく、必ずテスト環境でお試しください。テスト環境の構築には「Local」が使いやすくてオススメです。

最近のテーマに関する予備知識
次に、最近のテーマに関する予備知識を簡単にまとめました。こちらもすでに知っている方は読み飛ばしてください。
フルサイト編集(サイトエディター)
Full Site Editing、略すとFSE。WordPress 5.9から実装された機能です。フルサイト編集に対応したテーマであれば、外観 > エディターから編集できます。ヘッダーやフッターなど今までカスタマイズが難しかったエリアも、ブロックで簡単・柔軟に構築できます。



補足
WordPress 6.8 へアップデートしても、ベクトル製テーマ「Lightning」や「Katawara」 では、フルサイト編集に関連する機能は有効化されないようになっています。
ブロックテーマ
フルサイト編集に対応したテーマのことをブロックテーマと呼びます。WordPress 6.4で導入されたデフォルトテーマ「Twenty Twenty-Four」や、ベクトル製であれば「X-T9」がブロックテーマです。
クラシックテーマ
従来からあるテーマのことをクラシックテーマと呼びます。ベクトル製テーマ「Lightning」や「Katawara」 はクラシックテーマとなります。
theme.json
ファイル名「theme.json」。テーマフォルダ直下にあり、テーマを構成するファイルのひとつです。theme.json はブロックテーマで使われています。テーマで使用する主にブロックエディターの設定やスタイルなどを JSON形式で記述したものです。クラシックテーマでも、WordPress 5.8以降で theme.json に対応していれば、機能を利用できます。
WordPress 公式ハンドブック:グローバル設定とスタイル (theme.json)
WordPress 6.8 の気になる変更や新機能
管理画面
「新規投稿を追加」のラベルが「投稿を追加」に
https://core.trac.wordpress.org/ticket/61219
投稿や固定ページなどにある「新規投稿(固定ページ)を追加」のラベルが冗長に感じられるということで、「投稿(固定ページ)を追加」になります。ほか、メディア、ユーザー、テーマ、プラグインなどすべて「新規」や「新しい」が省かれて統一されるようです。
ラベルの変更は WordPress 6.4のときにもありました。今回の変更も、手順の作成や説明する時にちょっと気にしておくとよさそうです。


外観の「パターン」が「デザイン」の中に移動(クラシックテーマ)

「Lightning」などのクラシックテーマ向けの内容です
クラシックテーマで、「外観」に新しく「デザイン」が追加され、その中に「パターン」が移動されてます。Lightning で確認してみました。
- WordPress 6.7.2:外観 > パターン
- WordPress 6.8 RC3:外観 > デザイン に変更。その中に「パターン」と「スタイル」が表示

「スタイル」では、ブロックテーマのようにスタイルブックが表示されます。色やタイポグラフィ、ブロックがどういう風に表示されるのかを確認できます。

パスワードのセキュリティが強化される
パスワードのハッシュ化に用いるアルゴリズムが MD5 から bcrypt に変更されて、パスワードのセキュリティが強化されるようです。
ハッシュ化とは、ハッシュ関数によってデータを不規則に見える文字列に変換すること。WordPress では、ログイン画面で入力したパスワードをハッシュ化し、その値とデータベースに保存してあるパスワードのハッシュ値が一致すると認証する仕組みになっています。
データベースを見ると、ユーザーのパスワードは実際の文字列とは異なるのが確認できます。WordPress 6.7.2では MD5 のハッシュ値でテーブルに保存されています。

このまま WordPress 6.8にアップデートしても、パスワードの変更やリセットの必要はなく、ログイン済みのユーザーは、アップデート後もログイン状態が維持されるようです。
bcrypt でハッシュされるのは、WordPress 6.8にアップデート後の再ログイン時またはパスワードを変更する時です。自動的に bcrypt で再ハッシュされ、データベースに再保存されるとのこと。
実際に試してみたところ、異なる文字列でより長い値に変わって再ハッシュされているようです。

注意が必要なのは、bcrypt で再ハッシュされた後で WordPress 6.7.2などにダウングレードした場合です。パスワードを正しく入力してもログインできなくなってしまいます。ログイン時に入力したパスワードのハッシュ値(MD5で生成)とデータベースに保存してあるハッシュ値(bcryptで生成)が一致しないためです。
「WordPress 6.8にアップデートしたらプラグインが動作しなくなった😱一旦6.7.2に戻そう」というケースでログインできなくなったときは、慌てず「パスワードをお忘れですか ?」のリンクからパスワードをリセットしましょう。
エディター関連
「表示」に「テンプレートを表示」が追加

「X-T9」などのブロックテーマ向けの内容です
WordPress 6.7.2では、サイトエディターで固定ページの「テンプレート」から「テンプレートを表示」をクリックすると、テンプレート表示モードになります。適用されているテンプレートを編集画面に表示させることができます。

WordPress 6.8では、トップメニューの「表示」にも「テンプレートを表示」が追加されるようです。どちらからでもテンプレート表示モードにできるということですね。

「サイトを編集」をクリックするとサイトエディターのトップレベルが表示する

「X-T9」などのブロックテーマ向けの内容です
https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/63785
ページを表示している状態で画面上部にある「サイトを編集」をクリックすると、WordPress 6.7.2ではそのページに適用しているテンプレートの編集画面が開いていたのですが、WordPress 6.8ではサイトエディターのトップレベルに移動するようです。
これまで「サイトを編集」からテンプレートの編集をしていた方はアレ?ってなるかもしれませんね…

ズームアウトのトグルが表示されない?

「X-T9」「Lightning 」にも関係ある内容です
WordPress 6.7で追加された「ズームアウト」のトグルは、現時点ではトップメニューに常に表示されない?ようです。ブロックインサーターからパターンタブをクリックしても、トグルが表示されません。

X-T9 などのブロックテーマでは、「テンプレートを表示」を有効にするとトグルが出てきました。現時点では「テンプレートを表示」が無効だと、ズームアウトも無効になってしまうようです。
https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/69777

Lightning などのクラシックテーマでは、ズームアウトのトグルを表示させる方法がないのか、見つけられませんでした。
ズームアウトは新しい機能なので、まだまだ今後どうなっていくのか、気になるところです。
ズームアウトとは
ONにするとズームアウトされてページの内容を広範囲に表示できるため、パターンの追加、シャッフル、移動、削除などがしやすくなります。トグルをクリックしてON/OFFを切り替えられられます。パターンを構成する各ブロックを編集する際は、ズームアウトをOFFにして作業します。
「選択したブロックを削除する」キーボードショートカットが変更に
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/69074
- Windows:control+Alt+ZからShift+Ctrl+Backspace に変更
- Mac:control+option+ZからShift+command+Backspace に変更
たとえば、画像だとDelete キーまたは Backspace キーで削除できますが、段落だとこれらのキーでは文字が削除されるため、段落全体を削除したいときにこのキーボードショートカットは便利だと思います。より分かりやすいキーの組み合わせになったことで、使いやすくなりそうです。

トップメニューにあった「ツール」がなくなる?
https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/65736
「ツール」をクリックすると、ブロックの「編集」と「選択」を切り替えられましたが、これが表示されなくなっています。わたしは今まで「選択」にして使うことがなかったので気になりませんが、アレ?と思う人がいるかもしれないですね。

ブロック
画像ブロックに「アイキャッチ画像として設定」が追加
オプションから簡単にアイキャッチ画像として設定できるようになります。これは便利ですね。

「クエリー総数」ブロックが追加
「クエリー総数」ブロックが新しく追加されています。クエリーループ内に挿入するとその総数を表示してくれます。

ブログやお知らせなど記事の件数を表示できるので、便利ですね。

以上、一部ですが、気になった変更点や機能をピックアップしてご紹介しました!
参考資料
- WordPress 6.8を試してみよう(@tetsuaki_hamano さん、いつもありがとうございます!)
- WordPress 6.8 Field Guide
この記事を書いた人


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