🌏 登壇の動機と応募

Beyond My Comfort Zone

これまで日本の WordCamp での登壇が2回、香港での広東語のライトニングトーク経験1回を経て、2023年にマレーシアで開催された WordCamp Malaysia で、 ベクトルのスポンサーブース出展 と同時に初めての英語でのライトニングトークに登壇しました。その翌年、台湾で開催された WordCamp Asia 2024 ではパネルディスカッションのパネリストとして声をかけていただき、拙い英語ながらも最善を尽くして参加しました。これらの経験は私にとって大きな挑戦であり、自信にもつながりました。「次はさらに一歩先へ」という思いで、今回の登壇に挑戦しました。

また、2023年の振り返り記事で石川さんも語っていたように日本からの登壇者が増えて欲しいなということ、特に女性スピーカーがもっと増えてほしいという考えもありました。WordPress に関連した豊富な経験を持ち、かつ英語で話せる日本人や他のアジア人の多くが、実行委員として活動しており、なかなか登壇の機会を得られない現状があります。

登壇内容の検討

過去の多言語制作サイトに関する登壇(2019年2021年)の内容からエッセンスを活かしつつ、「多言語サイト制作」×「国際マーケティング」 という視点で応募することにしました。香港に15年以上暮らしてきたことで身についた国際マーケティングの視点をこのタイミングで整理したいと考えたことも理由の一つです。「翻訳を超えて、より本質的なローカリゼーションへ」というポイントを重視し、Beyond Translation, Beyond Borders を体現する内容を目指しました。

WordCamp の登壇者は公募方式で、多くの応募者の中から実行委員が審査を行い、当日のスピーカーが決定します。スピーカー募集期間は、2024年7月4日から8月20日にかけて行われました。応募には、過去の登壇経験の情報や、プロフィール、トピックタイトル、そしてトピックの概要を記入する必要があります。魅力的でイベントのコンセプトに沿ったセッションを提案できるかどうかを意識して仕上げました。採用されるか否かでスケジュールが大きく変わるため、ここが第1関門となりました。


📩 採用通知と準備

A road to WordCamp Asia!

審査期間を経て、10月に入り、ついに採用通知が届きました。ホッとしたのも束の間、本格的な準備が始まりました。ただし、公式のアナウンスがあるまでは、スピーカーとして登壇することを公にしないよう案内がありました。11月後半になって公式のスピーカー・アナウンスメントが発表されると、周囲からの応援の声も届きはじめ、一層「頑張ろう!」という気持ちが湧いてきました。

スピーカーアナウンスメントのお知らせイメージ

また今回の登壇にあたり、ベクトルからは登壇者サポートとして交通費と宿泊費が提供されました。私にとって登壇はほぼ個人的な活動であり、自分の中から伝えたいことを生み出す作業です。そのため、ベクトルの製品を直接宣伝するような表現はほとんどありません。それにもかかわらず、このようなスポンサーサポートを受けられたことは、とてもありがたかったです。登壇という貢献の形が、WordCamp にとってもベクトルにとってもプラスになるようにと、大きなモチベーションで取り組むことができました。

スライドの第1次締め切りは12月上旬。慌ただしいスケジュールの中で仕上げたため、この時点での完成度は3割程度だったかもしれません。その後、12月の下旬に実行委員のプログラムチームからフィードバックがあり、大きな問題もなく進められることになりました。スライドの第2次締め切りはイベント1ヶ月前の1月20日。その日をめがけて年末年始はしっかりと詳細な内容を仕上げていく作業になりました。

実際には、1月20日の第2次締切後も、登壇日のほぼ前日までスライドの微調整が可能でした。今回、Googleスライドで作成していたのですが、会場のモニターに表示するスライドデータは、一旦会場の機材を担当する業者がローカルに保存して表示するということで、自分のPCは持ち込みが不可能でした。特に私は英語のスクリプトをスピーカーノートを活用しながら調整していたため、前日の夜まで変更できたのは助かりました。

準備中のスライド。最終的に合計44ページになった。

公式スピーカー募集ページではスピーカーの募集要項や当日までのマイルストーンが掲載されています。スケジュールはちょこちょこ変更が出るので、実行委員のプログラムチームと連絡を取り合いながら進めます。はじめはメールベースで、後にSlackに招待されてスピーカーチャンネルでやり取りをしていきました。


📚 ヒューマンブックとして

“読む”のではなく“話す”ライブラリー

また、登壇とは別に、ヒューマンライブラリーという活動にも参加してきました。

ヒューマンライブラリーとは?

私は、「多言語サイト制作のエキスパート」のヒューマンブックとして登録しました。実際には「私自身の経験」だけでなく質問に来てくださった方の「これまでの経験」や「WordCampマニラに参加しようと思った動機」などを話し合う場になりました。

周りを見渡せば、歴代の WordPress の有名なコントリビューターや影響力のある人々が並ぶ錚々たるメンバー!このような方達が進んでヒューマンブックを快く引き受けてアジアに来てくれたことはとてもありがたいですね。

コントリビューターデーの開会式でヒューマンブックとして紹介される
Photo by Hidekazu Ishikawa

正直なところ、「私でいいのかな?」という気持ちもありました。

アジア人のヒューマンブックが少なく、かつ女性、となると私一人だけだったようです。

しかしながら言語・文化の違いを超えてお互いのストーリーを共有できたことは、とても貴重な経験でした。将来的には、アジアからもっと多くの人々が気軽にヒューマンブックとして参加してくれることを期待しています!

ボードに掲載されたヒューマンライブラリの予約票

🎤 発表と参加者の反応

繋がる、共感する

当日、私が登壇したルームには約150席ほどあり、そのうち半分ほどが埋まっていた印象です。日本のWordPressコミュニティからも多くの方が駆けつけてくださり、うなずきながら話を聞いてくれる姿が見えたのは、とても心強く感じました!

発表後、セッショッンを聞いてくださった方たちから「一緒に写真を撮りましょう!」 と声をかけてもらったり、「私も同じ悩みを抱えている」 と共感の声をいただいたりしました。受託制作をしているエージョンシーの方が多かったように思います。多言語サイト制作に取り組むエージェンシーの方々にとって、『翻訳を超えたローカリゼーションの重要性』というテーマは、共感を得やすかったのかもしれません。

また、ランチタイムや Vektor のスポンサーブースでは、
「あなたのセッションを聞いたよ!」
「文化の違いについてもっと意見交換したい!」
と声をかけていただき、実際に議論が広がったことも嬉しいポイントでした。

さらに、ソーシャルメディアでつながろうと声をかけていただいた際、ほとんどの方が LinkedIn を利用しており、地域性を感じる場面でもありました。


最後に

Beyond Translation, Beyond Borders

今回、私のセッションのカテゴリは「Beyond」。
振り返ってみると、まさに「Beyond」を体現できたなと思っています。

英語の壁は確かに存在します。しかし、アジアのフラッグシップイベントが続くことで、欧米とアジア、そしてアジア内の国々の交流が深まって、より多くのアジアの企業や開発者が向上していけたら良いな、と少し欲張りな想像することができました。

WordCamp Asia 2025 は、登壇者としてだけでなく、参加者としても多くの学びと出会いがありました。
一緒にセッションを聞いてくれた方々、質問や意見をシェアしてくれた方々、そしてベクトルブースに足を運んでくれた皆さま、本当にありがとうございました!

See you at the next WordCamp! 🚀✨

セッションはこちらからご覧いただけます

セッションタイトル:
Beyond Borders: Essential Steps for WordPress Multilingual Success
(ボーダーを越えて: WordPressサイト多言語化を成功させるための必須ステップ)

投稿者プロフィール

Chiaki Kouno
Chiaki KounoMarketer
株式会社ベクトルのマーケティング担当。香港を中心にアジアをウロウロしながらお仕事しております。北京語と広東語と英語をいずれも中途半端に操ります。WordCamp Asia 2020&23 実行委員 / 2024&25登壇。
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